消費者金融大手プロミスの100%の子会社の朝日エンタープライズが、三洋信販に対してTOBを行い9月13日に終了しました。TOBの成立により三洋信販の創業者でした椎木正和会長は辞任し、プロミスは三洋信販に5人の役員を派遣することにしています。このTOBを行った結果プロミスグループは、三洋信販の総議決権約379万個のうち約362万個を取得してしまい、三洋信販を傘下に収めてしまいました。これにより、融資の残高で業界3位のプロミスと7位の三洋信販が経営統合したことにより、融資残高で日本最大の消費者金融会社となってしまいました。
三洋信販の経営環境が悪化したのは2006年1月のことです。その主な原因は、最高裁判所が貸金業法43条のみなし弁済規定について、「利息制限法が定める制限利息を超過する利息を支払うことが事実上強制される場合は、借主が任意に支払ったとは言えない。したがって、有効な利息の支払とみなすことはできない」とした過払い金返還訴訟で最高裁判所が判決を下したのが発端でした。
三洋信販は、1959年10月に福岡県小倉市で創業し、九州・中国地方などを中心に消費者金融業を展開し、1999年から東日本への本格進出を開始してました。2002年4月にマイカルカード(現ポケットカード)を子会社化し、クレジットカード事業や保証事業、サービサー事業、金融周辺事業などに多角化を進めて急成長していたのです。これを見ても過払い金返還訴訟が消費者金融業者にとって経営基盤を危うくしているかが解ります。
「過払い金」については、最高裁判所は1968年11月の判決で「利息制限法が定める上限(15〜20%)を超える利息・損害金を支払った場合、過払い金を元本に充当することができ、完済後の過払い分は返還請求できる」と判断してました。ところが、その後、1983年11月に施行された貸金業法は、出資法の上限金利(年29.2%)までの金利は、借り手が任意に支払った場合は、例外的に有効なみなし弁済としました。その結果20%〜29.2%までの金利がグレーゾーンになってしまったわけです。
「みなし弁済」については、「最高裁は本判決において、任意性の要件についても厳格に解釈する立場を明らかにしたが、それは、単に形式的な条文解釈を示したのではなく、みなし弁済規定自体の厳格解釈(平成16年2月20日判決)、貸金業者の取引履歴開示義務(平成17年7月19日)、リボルビング方式の場合での返済期間・返済金額等を契約書面に記載する義務(平成17年12月15日)を判示した一連の最高裁判決とともに、『利息制限法こそが高利禁止の大原則であり、これを超過する高利の受領は容易に認めるべきではない』とする司法府の立場を示したものと解される」と日本弁護士協会は会長声明を発表しています。